にゃごにゃ小学校

本家(HP)作製のネタ、あるいは記事にするには寸足らずな話を日記兼用でアップします。

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 アカデミー賞作品で観てないものが意外と多いにゃごにゃが、いまごろクリント・イーストウッド監督のアカデミー賞監督賞作品、「許されざる者」(Unforgiven, 1992年)を観ました。

 いまさら隠さなくても、という作品ではありますが、いちおうネタばれですので断っておきます。

とある売春宿で客の牧童が娼婦の顔を切り刻む事件が発生した。しかし、保安官はその牧童を罰することなく経営者へ代金を弁済させることで手打ちにしてしまう。これに怒った娼婦仲間は貯めた稼ぎを出し合ってその牧童に賞金を掛けた。この噂は瞬く間に広まり、大金に目の眩んだ無法者たちが次々町に押し寄せようとしていた。

主人公マニーはかつて荒くれ者だった生き方を悔やんで現在は小さな牧場を営んでいた。しかし生活は苦しい。妻に先立たれた独り者が幼い子供たちを養うのも限界だった。そこへキッドという青年が訪れ、一攫千金の賞金稼ぎを持ちかける。マニーは悩んだ末にこの誘いに乗り、かつての相棒ネッドと共に賞金首を追う旅に出るのだった・・・



 トーンは、やはりオスカーを獲得した「ミリオンダラーベイビー」に似てます。重いけどリアル。
 実際、非常にリアルで、ほかの西部劇と違って、ほんとにあの時代って、こんな感じだったんかなー、と思わせてくれる緻密さがあります。

 『最後の西部劇』という呼ばれ方が一般的ですが、そもそもこれは西部劇ではないですね。西部劇は人生の意味や命の重みなんか考えない、テレビゲームのような感覚で相手に銃口を向けて引き金を引く、文字どおり活劇であるはずですが、この映画では人を撃つことと人が死ぬことについて、非常にシビアに現実を突き付けています。
 特に、たまたま素行の悪い同僚と行動をともにしていたというだけで、逮捕はされるわ、馬は取られるわ、娼婦たちには憎まれるわ、そのうえ共犯扱いで賞金をかけられて、まじめに働いているところをとうとう殺されてしまう若者は、まったく気の毒です。彼がこうした運の悪いなりゆきで人生を失ってしまうのも、これまた重たい事実。

 これ自身が西部劇かどうかは別にして、こうした点から、西部劇に引導を渡した作品であることは確かでしょう。

 この映画はなかなか一度で評価を下しにくいので、少なくとももう一度、観てみようと思いますが、いろいろ印象に残ったところはあります。
 まず、かつて悪名をとどろかせた主人公が、冒頭で、老いたとはいえなんとも頼りない射撃の腕をみせてしまいますが、これって、しらふだったからなんですねー。最後の最後、禁を破ってウイスキーを口にしてからの強いこと、強いこと。おいぼれカウボーイがいきなりダーティハリーに変身です。ここがある意味、唯一西部劇らしいところかも知れません。
 彼なら、しらふより飲酒運転の方が安全かも知れません、なんてのは悪い冗談なので撤回します。

 それから、ジーン・ハックマンの憎々しさ。このおっちゃん、「クリムゾンタイド」でもむかつく艦長の役でしたが、この映画ではその何十倍も絞め殺してやりたいと思わせる役柄。主役の相棒のモーガン・フリーマン(ネッド)を鞭でしばいて、とうとう殺してしまいますが、死なせるつもりはなかった、とうろたえるかと思いきや、逆に彼の死体を晒し者にする暴虐ぶりです。彼の職権濫用に、いちいち顔をしかめたりそむけたりせざるを得ない、周りの健全な感覚の人間たちが、なおさら彼の歪んだ性格を浮き立たせます。
 ともかく、さすがにアカデミー助演男優賞の演技だと、そこは認めざるを得ません。

 まあアカデミー賞受賞作品(作品賞、監督賞、助演男優賞、編集賞)だからおもしろいと決まったわけではないし、実際好き嫌いはわかれるでしょうが、確かに一見の価値はあります。はまれば「これぞわが最高の一本」となるポテンシャルも持つ映画のようです。そういう人、けっこういますので。

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コメント

クリントに拍手。

初めまして、達也です。
今月は硫黄島2部作を記念してクリント月間とし、
彼の作品を中心に観ております。
『父親達の星条旗』『ミリオンダラー・ベイビー』
『スペースカウボーイ』そして『許されざる者』。
どれもがストイックなメッセージを秘めていながら、
決して教条主義にはなっていません。
あくまでエンターティメントとして成立し、
観る者に深い感動を与えてくれます。
今、同じ時代を彼の様な監督と生きて、
素晴らしい作品に触れられる喜び感じています。
先日試写会で観た『硫黄島からの手紙』は、
敬愛する黒澤監督が降板させられた
『トラ・トラ・トラ』^のリベンジでもありました。

P.S トラバさせてくださいね。

名監督

達也さん、初めまして!

もう『硫黄島からの手紙』も観られたんですね。私も封切がとても楽しみです。

初期の頃の監督作品から、本当に光るものがあったイーストウッド監督ですが、着実に円熟味を増して、とうとうこんな素晴らしい2部作を作ってくれた、そんな感想です。

>> 『ミリオンダラー・ベイビー』
>> 『スペースカウボーイ』そして『許されざる者』
どれもハイビジョンで持っているんですが、すばらしいですよね。達也さんが言われるように、ちゃんと、というか素晴らしいエンターテイメントとして成立しつつ、媚びない、押しつけない、教条主義でもない。だからいつ観ても輝きを失わないですね。

>> 敬愛する黒澤監督が降板させられた
>> 『トラ・トラ・トラ』^のリベンジでもありました。

なるほど。確かに。私も、あれが黒澤監督の手によっていれば、といつも夢想してしまう者の一人です。

TBもお待ちしています。

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