にゃごにゃ小学校

本家(HP)作製のネタ、あるいは記事にするには寸足らずな話を日記兼用でアップします。

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 防災意識の高まりと共に、日本でも「トリアージ」(triage)という言葉がよく使われるようになって来ました。

 私がこの言葉を初めて目にしたのは、一昨年、アメリカの大学教授による、会社主催のセミナーの際、同時通訳のための論文資料を入手したときです。ここでは、コンピュータのシステム開発における、要求定義の選択技法、という論点で引き合いに出されていました。
 国内でも関連のあるところではすでに使われていたのかも知れませんが、比較的よく耳にするようになったのは最近のことです。

 この言葉、英語ですが、語源は「分類する」の意味のフランス語で、trierという単語から来ています。
 意味を御存じの方も多いと思いますが、災害などで治療にあたる医師や看護士の数では対応し切れないほどの負傷者が出た場合、どのような優先順位で治療を行うか、という分類法です。
 具体的には、以下のような分類になります。

   ●黒(Black Tag)カテゴリー0
    死亡、もしくは現状では救命不可能とされるもの。

   ●赤(Red Tag)カテゴリー1
    生命に関わる重篤な状態で、救命の可能性があるもの。

   ●黄(Yellow Tag)カテゴリー2
    生命に関わる重篤な状態ではないが、搬送が必要なもの。

   ●緑(Green Tag)カテゴリー3
    救急での搬送の必要がない軽症なもの。

 実際に、こうした色のタグを対象者につけるようです。
 トリアージは、1から段階を踏んで5まで行われます。例えば第一段階では、大声で、立ち上がって安全な地域に移動するよう指示します。ここでまず、カテゴリー3の人を除外できるわけです。

 この判定の際には、状況として、以下のような事項が基準になります。
    ●総傷病者数
    ●医療機関の許容量
    ●搬送能力
    ●重症度・予後
    ●現場での応急処置
    ●治療に要するまでの時間

 目的は、助かる人を一人でも多く救うことなので、少し考えればわかりますが、優先順位は1→2→3→0となります。
 ただし、状況が許せば、0の人で苦痛を訴えている場合には、痛み止めなどの処置を施します。

 もちろん、短時間に判定しますから、大丈夫だと思った人が実は重症だったり、その逆の事態もあり得ます。ですので、可能なかぎり繰り返し行う必要があります。

 勘のいい方はお気付きのように、この技法の起源は戦場です。しかもかなり古く、ナポレオン軍の軍医が考え出したとされています。
 近世では、核戦争の可能性が予測された冷戦時代、アメリカなどで核攻撃を受けたあとの対処法として、さまざまな研究やシミュレーション、訓練などが行われたようです。こうしたことを考えると、同様に核の攻撃を受ける可能性があった(今もある?)にもかかわらず、日本はいかにものんびりしています。

 実際には非常に多くの状況が錯綜し、数多くのパラメータが考慮対象になるので、極めて困難な判断が要求されることは想像に難くないでしょう。
 例えば、ある程度自分で動ける人の場合は自分で止血するとかいったことが可能なこともあるので、そうした場合、止血の方法を簡単に伝えて自分でやってもらうことも選択肢です。
 また、多少救急の心得のある人に、治療を任せるかどうかの判断も非常に難しいところです。圧倒的に医療チームのパワーが不足している場合は、見殺しにするよりはできることを、素人にしてもらうということも必要な場合があるかも知れません。もちろんこの場合は、法律的な問題とかも絡んで来て、さらに複雑です。

 意外とやっかいなのは、2とか3の人で、命に別状がないのに痛い、苦しい、なんとかしてくれ、と医師や看護士に食い下がる人達。あるいはその家族や友人たち。これは、カテゴリー1の人を助ける大きな妨げになります。間接の人殺しになりますから、こういった状況では素直に指示に従いましょう。



コメント




こちわ (社会の底辺)
2006-01-18 12:57:18

確か、阪神大震災の時に使われ始めたと『池田小学校襲撃事件』の時に耳にした記憶が。
あのときも同じような手法がとられたとか。
先日の尼崎脱線事故(中央日報によは『日本の新幹線が脱線。神罰が下った』と捏造報道されましたが)でも搬送順位をつけるのに行われたとか。
防災意識を持つうえで、せめて知っておく程度の知識は必要なんでしょうね。
でも、やっぱりそんな大きな事故、災害が無いに越したことはないですよね。



なるほど (にゃごにゃ)
2006-01-19 12:24:06

>> 確か、阪神大震災の時に使われ始めた
あ、そうなんですか。医療関係者の間では、もうとっくに常識なんでしょうね。
阪神大震災のときは、トリアージ云々以前に、当時の超無能首相のおかげで助かったはずの何十人か何百人の同胞が瓦礫の下で果てた悲しみが忘れられません。

>> でも、やっぱりそんな大きな事故、災害が無いに越したことはないですよね。
まったくその通りですね。天災はともかく、事故については人災のないようにしてほしいです。
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