にゃごにゃ小学校

本家(HP)作製のネタ、あるいは記事にするには寸足らずな話を日記兼用でアップします。

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 WOWOWで、伊丹十三監督の作品一挙上映、というのをやっていましたので、まだ観ていなかったこの作品を観ました。

 正直、まったく期待していなくて、録画してあった「マルサ2」をBGV代りにかけたのに続いて、どんな感じかな、と観始めたのですが、予想を大きく裏切って、とても面白く、妻とともに深夜までかかって一気観してしまいました。平日の夜中なのに一気観、というこのパターンにハマる作品は、かなり面白い部類に入ります。

 話は、三国連太郎演じる映画監督兼俳優が、ちょうど自分の監督映画で癌患者を演じているとき、体調不良で受診してみたところ実際に癌であることがわかり、闘病生活を始めます。ただし、症状が深刻なこともあり、医者は告知していません。そのせいもあって、本人がなかなか摂生できないというマイナス面もあります。
 話としては一応、コメディですが、ふまじめではなく、患者の立場、家族の立場、医師の立場、看護婦の立場、それぞれで考えさせられるテーマを持っています。といって、決して暗くも深刻でもないところが、この手の病院ものでよくあるパターンとは異なるところでしょう。

 実際、話のテンポがよく、流れもとてもスムーズです。含蓄にからめて突飛な演出をしたがる伊丹映画にしては、よく練れていて、違和感なく話が展開していきます。脚本をここまで丁寧に洗練させているのは、私の観た伊丹作品の中でもわずかです。

 役者の中では、看護婦の木内みどりがとてもいいです。うまいですよね、彼女は。それから、脇役の宮本信子も冷たいようで情の厚い妻をうまく演じています。

 話は、よく観察すると、けっこういろんな映画のぱくりかな、というようなシーンがいろいろ出てきます。
 入院して病院で悪さばかりするのは「オールザットジャズ」、癌に気づくところの展開と、気づいてからの生き様は「生きる」、自殺したときの蘇生の様子は「アビス」など。ただし、借り物という感じはなくて、違和感なくきれいに作品に取り込んであります。

 全般に話が感傷的でないのもいいですね。特に、臨終前の最後の言葉は、実感がこもっていて笑えます。

 いまいちなのは、般若心経+オーケストラ。だって、あれなら、お経だけを大人数で読み上げる方がよほど迫力も雰囲気もありますよね。永平寺の読経なんてすごいですもん。

 伊丹十三監督としては、雑になりかかっていた製作姿勢を、原点に戻してじっくりと取り組んだ作品なのではないかと思います。そして、それは十分成功していると思えます。
 伊丹映画の中では、個人的には「お葬式」と「マルサの女」の2本がよくて、あとはどーんと落ちるという印象だったのですが、この「大病人」はとても気に入りました。
 ただ、公開当時は、いろいろ酷評されていたようです。そういえば、アホが劇場でスクリーンを引き裂いたとかいう事件があったのもこの映画だったと記憶しています。私としては、静かな熱意を感じるだけに、この映画を酷評されたのは伊丹監督にとってとても辛かったろうと推察します。

 ともあれ、これまで伊丹映画は、「お葬式」「マルサ」に、おまけが「たんぽぽ」で終わりだったんですが、この作品はそこに加える価値の十分ある一本です。

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