にゃごにゃ小学校

本家(HP)作製のネタ、あるいは記事にするには寸足らずな話を日記兼用でアップします。

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 黒澤明の「生きる」をDVDで観ていたら、急にまだ観ていない黒澤映画を観たくなった。そういえば、ずっと前にハイビジョンで録画したまま観ていない「デルス・ウザーラ」があった、と思い出し、早速プロジェクターを準備して鑑賞した。

 この映画は、唯一の黒澤による外国映画。それもソ連である。日本人は一人も出てこない。
 私が知っていたのはロシアで作られた映画、というくらいで、デルス・ウザーラが人の名前だということすら、観始めて初めて知ったくらい。黒澤らしい映画、という評もあるらしいが、私や妻は、よし悪しは別にして、これが黒澤映画とは思えんな、というのが印象。もっとも彼は、そもそも映画のテーマが非常に多様な監督だが。一方、観る機会はきわめてまれだが、ロシア映画らしい映画ではないのかな、という感触。いずれにしろ、予想通り、いろんな意味で私達にとって「異色の」作品である。
 で、結論から言うと、とてもいい映画だった。

 舞台は今世紀初頭のシベリアの密林。地図作成など、軍の任務としての探検(軍隊というのと、任務として「探検」というのがいまいちピンと来ないのは、きっと私が現代人の感覚で観るからだろうと思う)を行っていたロシア軍人アルセーニエフは、極東地域の密林で少数民族ゴリド人の猟師デルス・ウザーラに出会う。アルセーニエフはデルスに道案内を頼み、ここからふたりの友情が始まる。
 タイトルのカピターン!というのは、デルスが子供のようにかん高い声でアルセーニエフを呼ぶ言葉。意味は、英語でいうcaptain、隊長だ。

 オランウータンではないが、デルスは「森の人」そのもの。家があって猟に出る猟師ではなく、密林そのものが家でありベッドだ。その不思議な生活が豊かに描き出され、映画に深みを持たせている。

 自然とともに暮らす人々を讃えることもうらやむことも簡単だが、現実は決して甘くない。自然そのものが生物の生存にはとても厳しい上に、匪賊が跋扈して原住民を殺戮していく。それでいて、自然と融けあって生きていくものには、都会生活者の見失った力と美しさが湛えられている。きれいごとだけではない描き方が、おしつけがましくなくていい。
 未熟な人生経験だけで、人生とはこんなもの、と言い切ってしまう、あるいは口に出さないまでもそう考えている人には、教わるものが多いのではないかと感じる。

 このデルスは実在の人物だそうだ。また、アルセーニエフはロシアの英雄らしい。原作がアルセーニエフの書いた探検記ということだから、けっこう映画の内容は事実に近いのかも知れない。
 内外の評価も高く、なによりアカデミー外国映画賞を取っているという輝かしい実績がある。間違いなく一見の価値はある映画だ。私も観てよかったと思う。

 蛇足ながら、この映画のDVDは6,300円。やっぱり黒澤映画は高いなあ。

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